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この時代を代表するフランスの中年俳優3人の共演が嬉しい。
派手さこそないが、しみじみと人生の哀歓が伝わってくる佳品。
ドパルデューのボクシングシーンも見応えがある。
ステファーヌ・オードラン、マリーデュボワといった女優陣の共演も嬉しいところ。
『赤い河』は西部劇の傑作。
ストーリーの面白さはもちろん、とにかくスケールの大きさに圧倒される。
ジョン・ウェインが良いのは当然として、モンゴメリー・クリフトが想像以上に良かったし、ヒロイン役のジョーン・ドルーの絡み具合も絶妙。
●『黒い十人の女』(61年、監督:市川崑、出演:山本富士子、岸恵子、船越英二)
ノワールチックな題名、クールなDVDパッケージに惹かれてレンタルした作品。
内容は多くの愛人を持ったテレビ局勤務の男を、その妻と愛人が結託して殺す計画を立てるという、クルーゾー監督の『悪魔のような女』で観たような内容。
しかし、この作品の印象はサスペンスというよりブラック・コメディという感じ。
殺される(?)男役の船越英二も、とぼけた味わいで、全く男らしさを感じさせない人物像。
しかし、モテル男とは実際はこんなものなのだろう。
本妻役の山本富士子と愛人役の岸恵子が素晴らしく、この二人のシーンはどれも見応え充分。
ことに山本富士子の声、セリフの言い回しが大変美しく、これは昨今の日本映画、いや、日本社会において、ついぞ聞けないものなのではないか。(もちろん、別の意味で原節子のそれにも同様の印象を受けるが)
脚本は、市川崑監督の奥方、和田夏十。
偶然にも、この文章を書いているうちに、市川崑監督の訃報に接した。
謹んで哀悼の意を表したい。
後に『知りすぎていた男』としてセルフ・リメイクされる作品で、ジミー・スチュワート、ドリス・デイといったスターを配したリメイク版の方が出来が良くなっているのはさすがにヒッチコックですが、こちらのオリジナルはピーター・ローレのお姿が拝めるというポイントもあります。
リメイク版でのラスト近くの「ケ・セラ・セラ」の部分が、オリジナル版にはありませんが、冒頭の射撃シーンが意味を持つオリジナル版の方がスッキリしていて私は好きかもしれません。
●『アフリカの女王』(51年、監督:ジョン・ヒューストン、出演:ハンフリー・ボガート、キャサリン・ヘップバーン)
第一次大戦中、敵国ドイツの砲艦「ルイザ号」を撃沈するため、アフリカの河を蒸気船「アフリカの女王」号で渡るという冒険物。
いくらヒューストン&ボギーとはいえ、こういった主人公が泥まみれ、垢まみれの“キタナイ”作品は、個人的に苦手。(おまけにヒルまで出てくるし 苦笑)
また、キャサリン・ヘップバーンの容姿が苦手というのも大きいかもしれません…。
ラストの展開はなかなか良かったですが。
久々の再見。
名画という世評に期待しすぎるとはぐらかされるかもしれません。
今観るといかにもありがちなストーリーに感じてしまいますが、独特の情緒はやはりこの時代のフランス映画ならではと言ってよいのではないかと思います。
ヒロインのアナベラは文句無く可憐だし、相手役のジョルジュ・リゴーも清潔感があって嫌味がない。
『巴里の屋根の下』でヒロインを演じていたポーラ・イルリは、ここでも素敵。
紀伊国屋書店から出ている『ルネ・クレール DVD・BOX Ⅱ』のソフトで観ましたが、画質は大変良好でした。
藤原審爾の原作を映画化した文芸もの。
太平洋戦争中、結核に犯された一人の作家志望の青年が、秋津温泉のとある旅館の若い女性と知り合う…というお話。
岡田茉莉子の映画出演100本目を記念した作品で、企画も彼女によるものだそうです。
個人的に、岡田茉莉子のファンというわけでもないし、長門裕之にもさして魅力を感じたわけではないので、正直言って、映画が始まって30分くらいはつまらなくて観るのを止めようかと思いました。
しかし、物語が年月を重ねてからの岡田茉莉子の演技が実に良く、次第に物語に惹き込まれました。
ホント、若い頃とは別人のように表情、声のトーンが変わっていたのには驚かされましたね。
こういった“腐れ縁もの”(?)といえば成瀬巳喜男監督の『浮雲』を思い起こしますが(音楽の使い方にも近いものを感じました)、この作品は舞台となった温泉郷の色彩豊かな自然が美しく撮られているのも大きな魅力です。
『山の音』は、鎌倉が舞台で原節子が主演の映画なので、なんとなく小津安二郎の作品を彷彿とさせる舞台設定です。
それに、原節子と上原謙の夫婦役といえば、同じく成瀬巳喜男監督の『めし』を思い起こしますし、実際『めし』の方が優れた映画という印象はありますが、この作品もなかなかの出来栄えです。
ストーリーは原節子のファンには結構厳しい内容ですが、成瀬巳喜男の格調高い映像はとても好きですね。
美しいラストで救われました。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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