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ジャック・ベッケル監督の『偽れる装い』を国内盤DVD(紀伊国屋書店レーベル)で観た感想です。
『FALBALAS』(45年)
監督:ジャック・ベッケル
脚本:ジャック・ベッケル、モリス・オベルジェ、モリス・グリフ
撮影:ニコラ・エイエ(アユール)
音楽:ジャン=ジャック・グリュネンヴァルト
出演:レモン・ルロー、ミシュリーヌ・プレール、ジャン・シュヴリエ、ガブリエル・ドルジア、ジャンヌ・フュジエ=ジール、フランソワーズ・リュガーニュ
初見。
ジャック・ベッケル監督の珍しい作品がこの度目出度く紀伊国屋書店レーベルより国内DVD化されることになりました。
今回取り上げる『偽れる装い』と、今月末に発売される『アリババと四十人の盗賊』(54)の2作です。
先に発売された『偽れる装い』はオート・クチュール界を舞台にしたメロドラマです。
ところで、ベッケルの未公開作では、昨年、映画祭『フランス映画の秘宝』で上映された処女作『最後の切り札』(42)を見逃してしまったのが返す返すも残念でした。(どこかでまた上映しないかなぁ…)
題材的にも、刑事モノだということで、大変興味深かったのですが。
それはともかく、この『偽れる装い』は個人的な関心からいったら、題材的には今一つ興味を惹くものではなかったのですが、ジャック・ベッケルの作品はこれからいろいろ観ていきたいと考えていることもあり、値段が高いDVDを思い切って購入して観てみたという次第です。
観た感想ですが、これは…紛れもない傑作です。
緻密な脚本、演出がとにかく素晴らしい。
後の傑作『肉体の冠』(53)をどこか彷彿とさせるドラマ構成で、内容も大変面白く、観ている間中、改めてジャック・ベッケルという監督は凄い監督だなぁとの思いを強くしました。
まさに監督の名声に恥じない見事な作品です。
キャストも良かった。
レモン・ルロー演じるファッション・デザイナー(フィリップ・クラランス)は、観る側が感情移入できない、全くもって自分勝手な男で、普通なら、こんな主人公が出ている映画は好きにならないのですが、不思議とこの映画にはそんな思いは抱きませんでした。
実際、演技も良かったと思います。
ミシュリーヌ役のミシュリーヌ・プレールは、若い頃のシモーヌ・シニョレ、ロミー・シュナイダーをどこか思い起こさせる古風な美貌の女優で、確かに美しいのですが、正直なところ私好みの容姿ではありません。
ところが、映画が進むにつれ、いつしか彼女の魅力に惹き込まれたのは自分でもビックリです。
脇では、ダニエル役のジャン・シュヴリエ、アンヌ=マリー役のフランソワーズ・リュガーニュも良かったのですが、なんといっても、ソランジュ役のガブリエル・ドルジアが素晴らしかった。
彼女は先日このブログでも紹介した『旅路の果て』(38年、ジュリアン・デュヴィヴィエ)も良かったのですが、この『偽れる装い』ではそれ以上に出番も多く、嬉しかったですね。
最後に、気になるDVDの画質ですが、紀伊国屋レーベルのDVDの画質のレベルからいったら、正直なところ、決して良い方とは言えません。
同時期のフランス映画では、発売済みのロベール・ブレッソン監督の『ブローニュの森の貴婦人たち』(45)も画質はあまり良くなかったですが、これはそれと同等程度か、若干上回る感じだと思います。
作品が進むにつれ、不思議と気にならなくなりましたが…。
ルキノ・ヴィスコンティやロバート・アルドリッチ、そしてジャック・ベッケル。
巨匠ジャン・ルノワールの門下生は、皆才能ある素晴らしい監督達ばかりですね。
ジャック・ベッケル監督はいろいろなテーマの作品を撮っており、それがどれもハズレがないという評価のようですね。
この『偽れる装い』も期待に違わぬ傑作でしたので、機会がありましたら是非ともご覧下さい。
ご指摘の通り、ジャン・ルノワールの門下生はホント優れた監督が多いですね。
ジャック・ベッケルの作品は、色々と観ているのですが、フィルム・ノワールからラブコメディ、ヒューマン・ドラマ、そして脱獄劇など、様々なジャンルの作品を作り上げ、しかもハズレがないと言うジャック・ベッケルは、師匠でもあるジャン・ルノワールよりも実は、凄く偉大なる監督ではないかと個人的には思っております。
出来れば、ジャック・ベッケルの全作品を観たいんですけどね…。
しかし現状からすると、廃盤状態やらDVD化されていない作品ばかりでして、非常に残念で仕方ありませんね…。
ジャック・ベッケル、本当に素晴らしい監督です。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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