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松田聖子、初期の名曲『Only My Love』。
80年代前半に聖子ファンだった者にとっては極めて重要な楽曲である。
つまりは、聖子さんの歴史の中でも最重要曲の一つである。
アンセムだと言ってもいい。
この曲は80年12月1日に発売されたセカンド・アルバム『North Wind』に収録されており、シングル・カットはされていない。
しかし、当時のコンサートではいつもフィナーレに歌われる重要な曲だったし、聖子さんのDJによるラジオ番組『夢で逢えたら』(ニッポン放送)のオープニングにも使われていた。
この曲のイントロがかかると“松田聖子 夢で 逢えたら”という聖子さんの声がつい聞こえてきてしまうという人も多いはずだ。
ところで、当時のラジオというのは今では考えられないくらい重要な存在だった。
テレビで毎週歌番組があった時代ではあるが、当時は人気アイドルの多くは自分のラジオ番組を持っており、その本音やファンに対する直接的なトークが聞けるのはラジオだけと言ってよかった。
『夢で逢えたら』も聖子さんの飾らない素の人柄が自然に出た好番組で、私たちはこれを聴いてますます聖子ファンになったものだ。
毎週日曜日22時~22時半という放送時間帯は、このラジオを聞いていた人たちにとっては決して忘れられない時間帯である。
調べてみたら『夢で逢えたら』は81年4月から83年3月までの放送だったということだが、たった2年間の放送だったとはとても信じられない。
それくらい番組のインパクトが強く、もっと長く放送されていたような印象があるからだ。
このラジオ番組、今ならYouTubeで数回分聞くことができるが、若い頃の聖子さんの話し声のハスキーさに驚く。
もっとも、近年のコンサートでの聖子さんのトークは、年齢を経たわりには声にさほどハスキーな印象はなく、これも聖子七不思議の一つである。
1983年3月27日 ラジオ『松田聖子 夢で逢えたら』 最終回前半
言うまでもなく、番組の冒頭でかかるのが『Only My Love』のオリジナル音源。
皆様にご心配をおかけしました、と話しているのは沖縄でのファン襲撃事件のことだろうか。
沖縄の事件は3月28日だったはずで、そうなると日時が合わなくなるが・・・。
それはともかく、『Only My Love』が数ある聖子さんの名曲の中でも最も感動的な名曲であることは間違いない。
実際、聖子さんにはその手の名曲が多すぎるが、これは全キャリアを通じて別格の地位を占める楽曲であろう。
前述のように80年代前半のコンサートではいつもフィナーレに歌われる重要な曲であり、会場はファンの大合唱に満たされた。
歌詞も素晴らしく、“あなたと今この道 歩いてゆきたい”の“あなた”とは、聖子さんにとってはファンのことであり、ファンにとっては聖子さんのことなのだ。
もっとも、聖子さんが特にそう言ったというわけではないが、この歌がコンサートで歌われる瞬間、歌詞の意味合いがそこまで昇華される(?)のを確かに感じるのだ。
そして、私が特に好きなところは“庭に咲いたわ 小さな花 あざやかな色で 私の中 眠っていた愛に 火を付けてゆく”の件だ。
オリジナル音源(レコード)における“花”の歌い方、そして、“あざやかな”の“ざ”の歌い方が素晴らしすぎる。
『Only My Love』のレコードにおけるオリジナルキーは高い。
これは皮肉にもハイトーンを誇っていた当時の聖子さん自身を苦しめたようで、分かっている限りでは82年にはこの曲を歌う場合、キーを下げたようだ。
思えば、ただでさえキーが高くて苦しいのに、コンサートなどで20曲前後歌った後、フィナーレにこのオリジナルキーは殺人的だ。
声を守るためにもキーを下げたのは当然の処置だったろう。
オリジナルキーで歌った動画を一つだけ見つけたが、81年の殺人スケジュールで声を痛めている頃で、声が残念ながら出きっておらず、痛々しい。
しかし、当時の聖子さんがいかに真摯に歌に取り組んでいたかを示す貴重な動画なので紹介。(ニコニコ動画に飛びます)
次に、キーを落とした後の82年12月25日のクリスマスクイーン(伝説的な初の武道館コンサート)の動画を。
途中から登場する蜘蛛の巣みたいなセットはともかく(笑)、キーがどうだとかこうだとか言ってる場合ではないほど感動的な動画である。
ベタな表現だが、これを観ると『Only My Love』とは何より聖子さんとファンの心を一つにする歌であることが認識できるはずだ。
ちなみに、初武道館から31年後の2013年7月7日に行われた聖子さんの武道館100回記念コンサートでは、アンコールでこのクリスマスクイーンの映像をバックに現在の聖子さんが『Only My Love』を歌うという、初期のファンには堪らないシーンがあった。
聖子さんとファン双方にとって、この曲は今もなお現在進行形の歌なのである。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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