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マルセル・カルネ監督の『港のマリー』を国内盤DVD(ジュネス企画)で観た感想です。
『LA MARIE DU PORT』(49年)
監督:マルセル・カルネ
撮影:アンリ・アルカン
音楽:ジョセフ・コズマ
出演:ジャン・ギャバン、ニコール・クールセル、クロード・ロマン、ブランシェット・ブリュノワ、ジャヌ・マルカン、ガブリエル・フォンタン、ジュリアン・カレット
初見。
中年男と若い女性の微妙な恋愛模様を描いたメロドラマ。
決してつまらない作品ではありませんし、悪い作品でもないのですが、マルセル・カルネ監督が脚本家ジャック・プレヴェールと別れた後の作品であるせいでしょうか、正直なところ、どこかピリッとしないといいますか、締まりがない感じがする作品です。
登場人物の行動心理が、もう一つ観客に伝わってこないせいでしょうか。
港が作品の舞台になっているのは風情があって良いのですが、その点がこの作品ならではという魅力とまではなり得ていない感があります。
ジャン・ギャバンは存在感、演技ともに良いのはいつも通り。
この頃は50年代以降よりも少し痩せていて、その精悍な表情はさすがに魅力的です。
しかし、役柄の性格がどっちつかずといいますか、ジャン・ギャバンにしては説得力に欠けます。
マリーを演じたニコール・クールセルは、美貌、演技ともに役柄にピッタリでとても良かったと思います。
そのマリーの姉で、ギャバンの妻(愛人?)役のブランシェット・ブリュノワもなかなか魅力的でした。
名キャメラマン、アンリ・アルカン(メルヴィルの『この手紙を読むときは』(53)の撮影も担当)の奥行きのある美しい映像は、この作品の雰囲気にとても合っています。
マルセル・カルネ監督の『枯葉~夜の門~』をレンタルビデオで観た感想です。(ビデオタイトルは『夜の門』)
『LES PORTES LA NUIT』(46年)
監督:マルセル・カルネ
脚本:ジャック・プレヴェール
撮影:フィリップ・アゴスティーニ
音楽:ジョセフ・コズマ
出演:ピエール・ブラッスール、セルジュ・レジアニ、イヴ・モンタン、ナタリー・ナティエ、ダニー・ロバン、ジュリアン・カレット、ジャン・ヴィラール
シャンソンの名曲『枯葉』をモチーフにした作品。
『枯葉』の作詞はこの映画の脚本を手がけたジャック・プレヴェール、作曲は音楽を手がけたジョセフ・コズマ。
映画のところどころでこの曲のメロディー、歌詞が登場します。
この作品は俗に言う“カルネ=プレヴェール”の最後にあたる作品で、これを最後に二人の関係は解消してしまいます。
そのせいか、『天井桟敷の人々』や『霧の波止場』など、カルネ=プレヴェールの名作と比較してしまうと、ハッキリと見劣りする作品ですが、ストーリーよりもむしろ戦後すぐという時期のパリの夜の街の描写に妙に魅力がある作品です。
オープニングのパリの情景のカットも素晴らしい。
ところで、この映画の出演者の序列は、オープニング・クレジット上はピエール・ブラッスール、セルジュ・レジアニ、イヴ・モンタンの順ですが、実質モンタンの主演作といってよい作品です。
モンタン自身、シャンソン歌手として『枯葉』の名唱で有名ですが、映画の中でこれといった印象的な唄い方をしているわけではないので、これは少々意外。
ピエール・ブラッスールとセルジュ・レジアニは、あまり出演時間は長くないものの、いかにも彼ららしい役で出演。
ヒロインのナタリー・ナティエは、正直なところ、魅力がもう一つという印象。
一方で、浮浪者役を演じるジャン・ヴィラールがいい味を出しています。
こういう役柄はいかにもこの時代のフランス映画という感じです。
マルセル・カルネ監督の『霧の波止場』を国内盤DVDで観た感想です。
『LE QUAI DES BRUMES』 (38年)
監督:マルセル・カルネ
脚本:ジャック・プレヴェール
音楽:モーリス・ジョーベール
出演:ジャン・ギャバン、ミシェル・モルガン、ミシェル・シモン、ロベール・ル・ヴィギャン、ピエール・ブラッスール、レイモン・エイムス、エドゥアール・デルモン
監督マルセル・カルネ、脚本ジャック・プレヴェールによる、いわゆる“カルネ=プレヴェール”による名品です。
もともと大好きな作品なのですが、再見して改めて堪能しました。
いかにも往年のフランス映画らしいフランス映画で、我々がこの時代のフランス映画というもの(あくまでもイメージですが)に期待するものを全て見せてくれる映画といってよいかもしれません。
冒頭から、男同士のケンカと仲直りという展開なのですが、その仲直りの仕方からして、いかにもフランス映画的なのです。
そして、港町ルアーヴルの霧の描写、そして、そこに佇むパナマ亭の描写が素晴らしい。
もうこれだけで我々はこの映画の世界に引きずり込まれます。
いわゆるリアリズムとは対照的な描写なのですが、むしろ、これでこそ映画という思いがします。
キャストも皆素晴らしい。
とりわけ、“レインコートにベレー帽”という見事なファッションで登場する、ミシェル・モルガンの魅力は唯一無二。
彼女の出演作の中でも、他の作品でも決して味わえない特別な魅力があると思います。
ジャン・ギャバンの良さも今さら言うまでもなく、ミシェル・シモン、ピエール・ブラッスールなど往年の名優たちの演技も見事です。
そして、モーリス・ジョーベールのドラマティックな音楽が映画を大いに盛り上げています。
この作品の映像は、5年くらい前に購入した『Office YK Pictures』なる少々怪しげなレーベルのDVDで観ているのですが、これが意外と画質が良いんですよね。(1000円くらいで購入しました)
最近ではジュネス企画からも国内盤DVDが出ているようですが、買い直そうという気にはなりません。
このところ観た映画のメモの続きです。
●『マンハッタンの哀愁』(65年、監督:マルセル・カルネ、出演:アニー・ジラルド、モーリス・ロネ)
ジョルジュ・シムノン原作『マンハッタンの三つの部屋』の映画化。
メルヴィル監督が映画化しようとして実現しなかったことでも知られる作品です。
映画史上の傑作『天井桟敷の人々』(45)で有名なマルセル・カルネ監督も50年代以降は低迷したというのが定説となっているようですが、これは個人的にとても好きな作品ですね。
確かにストーリー的にはかなり地味ですが、人生の倦怠感が実に巧く映像化されている作品だと思います。
アニー・ジラルドはもともと大好きな女優ですが、この作品の彼女の演技は本当に素晴らしい。
心のひだに沁みるようなマル・ウォルドロンのジャズも映画に相応しい見事な出来栄えです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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