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ジャン・ベッケル監督の『勝負(かた)をつけろ』をレンタルビデオで観た感想。
『勝負(かた)をつけろ』(61年)
監督:ジャン・ベッケル
撮影:ギスラン・クロケ
出演:ジャン=ポール・ベルモンド、ピエール・ヴァネック、ミシェル・コンスタンタン
監督のジャン・ベッケルは言うまでもなくジャック・ベッケルの息子で、この作品が監督デビュー作。
映画の原作は、ジャック・ベッケル監督の遺作『穴』(60)の原作者のジョゼ・ジョヴァンニで、脚本もジョヴァンニとジャン・ベッケルの共同。
ジャック・ベッケルと親しかったメルヴィルも映画に協力したらしく、映画のオープニングクレジットでは、ジャン=ピエール・メルヴィルの撮影所で撮られたという旨の表示が出てきます。
撮影は『穴』のギスラン・クロケ。
この映画は特に前半がいい。
舞台が、いかにもジョヴァンニ原作の映画らしい暗黒街で、若き日のベルモンドのクールな魅力が味わえます。
後半は刑務所を舞台とした男二人の友情物語となりますが、前半とは大分印象が変わります。
正直なところ、映画がトーン・ダウンしてしまう印象。
地雷除去のシーンで、展開が、後のジョゼ・ジョヴァンニ監督作品『ラ・スクムーン』(72年、主演はベルモンド)と瓜二つだということに気づきましたが、後で調べて、原作が同じだということが分かりました…。
映画としては、『ラ・スクムーン』の方に軍配が上がるでしょう。
この映画には、『ラ・スクムーン』にも出演しているジョヴァンニ作品の常連、ミシェル・コンスタンタンも悪役で出ていますが、手下を連れて夜の街を練り歩く様は迫力満点。
ベルモンドの友人役を演じるピエール・ヴァネックは、ジュールス・ダッシン監督の『宿命』に出演している俳優のようです。
他にはジュリアン・デュヴィヴィエ監督の『わが青春のマリアンヌ』やルネ・クレマン監督の『パリは燃えているか』にも出ているようですし、近年ではミシェル・ゴンドリー監督の『恋愛睡眠のすすめ』という映画に出ています。
全く古さを感じさせない粋な映画。
ハワード・ホークス監督のシャープでドライな演出が良く、主演のケーリー・グラントとロザリンド・ラッセルの二人がなんとも魅力的。
特に、ロザリンド・ラッセルはスタイルや美貌も全然古くないし、あのマシンガントークは凄すぎる。
疲れている時に観たい映画ではないが…。
このところ観た映画のメモの続きです。
今回はサスペンスものが多いです。
●『危険がいっぱい』(64年、監督:ルネ・クレマン、出演:アラン・ドロン、ジェーン・フォンダ)
●『華麗なる賭け』(68年、監督:ノーマン・ジュイソン、出演:スティーヴ・マックィーン、フェイ・ダナウェイ)
●『青髭』(62年、監督:クロード・シャブロル、出演:シャルル・デネ、ステファーヌ・オードラン)
『危険がいっぱい』
ラロ・シフリンのジャズが印象的。
若々しいアラン・ドロンは役柄によく合っているし、アンリ・ドカの流麗なキャメラもさすがに見事だが、全体としては、今一つノリきれないストーリーという感が残った。
あと、所有しているDVDで観たのだが、画質があまりにも悪い。
製作年代からいっても、もっと良いマスターがあるはずだが。(以前観たBSの放送の方が画質はずっと良かった)
『華麗なる賭け』
マックィーンの出演作は以前は好きでよく観ていたが、これは初見。
印象としては、オサレ系(?)サスペンスといったらよいか。
マックィーンはさすがにカッコ良いが、作品としてはもう一味欲しい感も。
フェイ・ダナウェイは結構好きな女優だが、この作品ではあまりキレイに見えない。
映画中で多用されるマルチスクリーンも、いかにも感があり、今となっては良い手法とは思えない。
ミシェル・ルグランの音楽はさすがに印象的だが、映画本編以上に目立ってしまうところもあり。
『青髭』
メルヴィルが俳優として出演していることでも知られるクロード・シャブロル監督作品。
ヨーロッパに伝わる青髭伝説を、第1次世界大戦に時期を設定しなおして描いた作品で、ミシェル・モルガン、ダニエル・ダリューなど、青髭に殺される女たちを演じる女優たちの顔ぶれが豪華である。
それぞれの出演場面は短く、勿体無いくらい。
主演のシャルル・デネは、後にトリュフォー監督の『恋愛日記』に主演、『黒衣の花嫁』、『私のように美しい娘』でも怪演を示しているし、『Z』や『相続人』など脇でもユニークな存在感を放つ、私はかなり好きな俳優なのだが、今回観たビデオは英語吹き替え版であり、彼の特徴のある声が聞けないのが残念。(唯一彼の声が聞けるシーンが歌を歌うシーン)
ストーリーもシリアスなのかコメディなのか捉えがたく、どことなく中途半端な感がある。
ところで、私はメルヴィルの出演場面が見つけられなかった。
もしお分かりの方がいたら教えてもらいたいものである。
先日に引き続き、このところ観た映画のメモです。(観た順)
●『刑事キャレラ 10+1の追撃』(71年、監督:フィリップ・ラブロ、出演:ジャン=ルイ・トランティニャン、ドミニク・サンダ)
『刑事キャレラ 10+1の追撃』は以前このブログでも『相続人』を紹介したフィリップ・ラブロの監督作品。
前半がちょっとかったるいが(モリコーネの音楽の使い方のせいかも)、ポール・クローシェやラウラ・アントネッリが出てくる後半、俄然面白くなる。
ジャン=ルイ・トランティニャンの主演作としても、もっと有名になってよい作品だと思う。
Amazonに注文していた『ロベール・ブレッソン DVD-BOX 1』(紀伊国屋書店)が届きました。
ブレッソンの作品はこれまではどちらかというと敬遠してきましたが、昨年、『スリ』と『ラルジャン』を観てなかなか面白いと思い、これを機にDVD-BOXを注文してみたわけです。
このボックスを観るのはもうちょっと先になりそうですが。
『1』というからには続編もあるのでしょうか。
近く『抵抗』も観る予定。
さて、2月は映画を観る時間がたっぷり取れそうなので、“映画鑑賞強化月間”として名作を観まくりたいと考えています。
以前は別のサイトでレビューを書いていましたが、最近はその気力もなくなってしまいましたので、このブログで簡単なメモ程度のものを残したいと考えています。
まず、その手始めに、このところ観た映画…
●『摩天楼』(49年、監督:キング・ヴィダー、出演:ゲーリー・クーパー、パトリシア・ニール)
●『リバティ・バランスを討った男』(62年、監督:ジョン・フォード、出演:ジョン・ウェイン、ジェームズ・ステュワート)
『摩天楼』ではゲーリー・クーパーの魅力を再確認しましたし、『リバティ・バランスを討った男』は、ストーリーの良さはもちろん、無駄のない構成、演出で、“映画の教科書”を見せ付けられるような映画でした。
事実上、ジミー・ステュワートが主演のような映画ですが、脇に廻ったジョン・ウェインも渋かった。
これまで、どちらかといえば西部劇は敬遠することが多かったのですが、ジョン・フォードやハワード・ホークスの作品あたりからまずは観ていきたいと考えています。
フランスのフィルム・ノワールのテーマ曲などを一挙に収録した『Du rififi au cine - L'integrale』という4枚組のCDボックスです。
貴重音源が多く、それも、フレンチ・フィルム・ノワールの主だった作品のサントラ、テーマ曲などがズラリと収録されている様は壮観(?)です。
未見の映画でも、音楽を聴いているだけでも充分楽しめます。
また、24ページに及ぶ、写真満載のブックレットも楽しいです。(右下の画像がその内容の一部です)
このCDボックス、日本では『フレンチ・フィルムノワール・アンソロジー・ボックス・セット』と銘打って発売されましたが、既に廃盤となり、中古盤は高価で取引されているようです。
私は今回、運良く輸入盤を見つけました。
これまで私は『Vol.1』(国内盤)のみ所有しておりましたが、内容は50~60年代の映画のものばかりでした。
『Vol.2』は70年代、『Vol.3』は80年代、『Vol.4』はテレビドラマ関係の内容のようです。
これらはバラでも発売されておりましたが、現在は中古でも『Vol.4』をたまに見かける程度で、他の3枚はまず見つけることができません。
全体の詳しい内容に関してはこちらを参照。
肝心のメルヴィル関係の収録内容ですが、以下の通り。
『Vol.1』収録
●『いぬ』(「いぬのテーマ」「ジャズ・ラピード」作曲:ポール・ミスラキ)
●『賭博師ボブ』(「ボブのテーマ」作曲:ジョー・ボワイエ、エディー・バークレイ)
●『マンハッタンの二人の男』(「テーマ」「マンハッタン・ストリート」作曲:クリスチャン・シュヴァリエ)
『Vol.2』収録
●『仁義』(「テーマ」作曲:エリック・ド・マルサン)
●『リスボン特急』(「上品な紳士~ジャン・ドサイの場面にかかる音楽」 作曲:ミシェル・コロンビエ)
「ボブのテーマ」や、『マンハッタンの二人の男』の音楽などは、ことサントラCDでは、ここでしか聞けないものではないでしょうか。
大変貴重です。
ただ、ちょっと残念な点もありまして、『いぬ』に関しては、冒頭のあのテーマ音楽が収録されていませんし、また、『リスボン特急』に関してはエンドクレジットに流れるイザベル・オーブレの歌「事が起こるように」も収録されておりません。
しかし、ここまでフランス映画の、それもフィルム・ノワール関連の音源がまとめて聴けるのは嬉しい限りです。
以前、ジャン=ピエール・メルヴィル監督の好きな映画作品のリストを紹介しましたが、今回はフランスの「カイエ・デュ・シネマ」誌に掲載された、メルヴィルが選んだ、1959~1962年の4年間それぞれの年の映画ベスト10のリストを紹介します。
前回紹介したリストと重複する作品もいくつかありますが、その年の他の作品との比較も兼ね、そのまま紹介します。
おそらく上の方が順位が高いものと推測されますが、確信はありません。(監督名)
1959
『いつもの見知らぬ男たち I Soliti Ignoti』 (マリオ・モニチェリ Mario Monicelli)
『走り来る人々 Some Came Running』 (ヴィンセント・ミネリ Vincente Minelli)
『或る殺人 Anatomy of a Murder』 (オットー・プレミンジャー Otto Preminger)
『ロベレ将軍 General della Rovere』 (ロベルト・ロッセリーニ Roberto Rossellini)
『二十四時間の情事 Hiroshima, mon Amour』 (アラン・レネ Alain Resnais)
『危険な関係 Les Liaisons Dangereuses』 (ロジェ・バディム Roger Vadim)
『スリ Pickpocket』 (ロベール・ブレッソン Robert Bresson)
『アメリカの戦慄 Trial』 (マーク・ロブソン Mark Robson)
『大人は判ってくれない Les quatre cents coups』 (フランソワ・トリュフォーFrancois Truffaut)
『魔術師 The Magician』 (イングマール・ベルイマン Ingmar Bergman)
1960
『穴 Le Trou』 (ジャック・ベッケル Jacques Becker)
『アパートの鍵貸します The Apartment』 (ビリー・ワイルダー Billy Wilder)
『拳銃の報酬 Odds Against Tomorrow』 (ロバート・ワイズ Robert Wise)
『勝手にしやがれ A Bout de Souffle』 (ジャン=リュック・ゴダール Jean-Luc Godard)
『墓場なき野郎ども Classe Tous Risques』 (クロード・ソーテ Claude Sautet)
『サイコ Psycho』 (アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock)
『雨のしのび逢い Moderato Cantabile』 (ピーター・ブルック Peter Brook)
『ピアニストを撃て Tirez Sur Le Pianiste』 (フランソワ・トリュフォー Francois Truffaut)
『アメリカの裏窓 L' Amerique Insolite』 (フランソワ・レシャンバック Francois Reichenbach)
『真夏の夜のジャズ Jazz on a Summer’s Day』 ( アラム・アヴァキアン、バート・スターン Aram Avakian/Bert Stern)
1961
『みんな帰ろう Tutti a Casa』 (ルイージ・コメンチーニ Luigi Comencini)
『荒馬と女 The Misfits』 (ジョン・ヒューストン John Huston)
『女は女である Une Femme est une Femme』 (ジャン=リュック・ゴダール Jean-Luc Godard)
『ねずみの競争 The Rat Race』 (ロバート・マリガン Robert Mulligan)
『アラスカ魂 North to Alaska』 (ヘンリー・ハサウェイ Henry Hathaway)
『明日なき十代 The Young Savages』 (ジョン・フランケンハイマー John Frankenheimer)
『土曜の夜と日曜の朝 Saturday Night and Sunday Morning』 (カレル・ライス Karel Reisz)
『コンクリート・ジャングル The Criminal』 (ジョゼフ・ロージー Joseph Losey)
『栄光への脱出 Exodus』 (オットー・プレミンジャー Otto Preminger)
『ニュールンベルグ裁判 Judgment at Nuremberg』 (スタンリー・クレイマー Stanley Kramer)
1962
『噂の二人 The Children’s Hour』 (ウィリアム・ワイラー William Wyler)
『ウエスト・サイド物語 West Side Story』 (ロバート・ワイズ Robert Wise/Jerome Robbins)
『ワン、ツー、スリー! One, Two, Three』 (ビリー・ワイルダー Billy Wilder)
『ハスラー The Hustler』 (ロバート・ロッセン Robert Rossen)
『獅子座 Le Signe du Lion』 (エリック・ロメール Eric Rohmer)
『ロリータ Lolita』 (スタンリー・キューブリック Stanley Kubrick)
『草原の輝き Splendor in the Grass』 (エリア・カザン Elia Kazan)
『史上最大の作戦 The Longest Day』 (ケン・アナキン、アンドリュー・マートン、ベルンハルト・ヴィッキ Ken Annakin/Andrew Marton/Bernard Wickl)
『野望の系列 Advise and Consent』 (オットー・プレミンジャー Otto Preminger)
『渇いた太陽 Sweet Bird of Youth』 (リチャード・ブルックス Richard Brooks)
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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