忍者ブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

534570bf.jpeg私が一番好きな現役ジャズ・ピアニストは実はケニー・バロンなのだが、彼のニューアルバム『マイナー・ブルース』(ヴィーナス・レコード)がつい先日発売されたのでご紹介。
参加メンバーは ケニー・バロン(p)、ジョージ・ムラーツ(b)、ベン・ライリー(ds)

ケニー・バロンは現在66歳で、このところアメリカのメジャー・レーベルであるヴァーヴと契約してきたが、この度ヴァーヴとの契約が切れヴィーナス・レコードに移籍、これが移籍後初のアルバムとなる。
ピアノ・トリオに定評のあるヴィーナス・レコードということもあって、今回は全曲ピアノ・トリオ編成というのがミソである。

ケニー・バロンの本領を最大に発揮するのは間違いなくピアノ・トリオだと思うが、近年ヴァーヴから発表されたアルバムは企画ものが多く、純粋なピアノ・トリオ・アルバムは意外と少なかった。
それだけに今回のトリオ・アルバムは嬉しい。

9dec3846.jpegケニー・バロンは晩年のスタン・ゲッツの伴奏を務めたことでも有名だし(ゲッツとのデュオアルバム『ピープル・タイム』は名盤)、海外での評価も高いが、80~90年代にメジャー・レーベルからアルバムを出してこなかったせいか(マイナーレーベルの輸入盤はあり)、来日回数が多い割に日本では知る人ぞ知る存在なのが惜しい。

ケニー・バロンの生演奏は10年ほど前にベースのチャーリー・ヘイデンとのデュオを青山のブルーノートで聴いたことが一度あるのだが、素晴らしい美音にとにかく圧倒された。
どちらかというと音数の多いピアニストであり、黒人のわりには黒っぽさが薄い音だが、感興の趣くままに溢れ出るフレージングは実にセンスが良く、あくまで自然体の演奏が魅力的なピアニストである。

ところで今回のニューアルバムだが、CD1枚2800円と常に思うことだがヴィーナス・レコードのCDは価格が高い。
ケニー・バロンのニューアルバムとあっては話が別なので貧乏覚悟で購入したが、それからは当然のごとくヘヴィー・ローテーション状態。
内容も期待に違わず素晴らしい出来だ。

日本のレコード会社製作のアルバムらしくスタンダードナンバーが多いのはご愛嬌として、個人的に好きな②『ビューティフル・ラブ』などのスタンダードと自作を上手く絡めた選曲も魅力的であるし、メンバー3人の絡みも実に息が合っている。
録音も良く、聞き流しても、一音一音に耳を澄ましても楽しめるピアノ・トリオ・アルバムに仕上がっていると思う。

PR

前回より続く
私がヴィブラフォンの音に親しみ始めた理由は当時よく聴いていたヨーロピアン・ジャズの諸アルバムにヴィブラフォンがよく取り入れられていたこと、また、ボビー・ハッチャーソンヴィクター・フェルドマンなどの演奏が気に入ったことが大きな理由だが、その他にジャン=ピエール・メルヴィルの映画のサウンドトラックの影響もあった。

メルヴィルの『賭博師ボブ』(55)、『いぬ』(62)、『仁義』(70)などのサントラにはヴィブラフォンが印象的に取り入れられているが、事実、メルヴィル監督自身、MJQの音楽の大ファンだったのだという。(メルヴィル監督が『ギャング』の音楽をジョン・ルイスに依頼したことについては以前書いたこちらの記事参照)

そんなこんなでヴィブラフォンの音に対する抵抗感がなくなったこともあって再びMJQを聴き始めたのだが、そこからMJQの音楽にハマるのは早かった。
以前聴いた時は全然面白さが分からなかった『ヨーロピアン・コンサート』があっと言う間に大名盤となってしまったくらいだから…。

先に述べたように、MJQの音楽は管楽器リード奏者が存在しないので印象としてはかなり地味である。
一聴した限りでは音楽のダイナニズムに乏しいせいか、活気のない音楽に聴こえてしまうかもしれない。(一言で言えば大人しいジャズということか)
そのせいか、ビッグ・ネームの割にはあまり日本では人気がないような気がする。
しかし、そのサウンドと演奏の味わい深さ、魅力にハマッたらもう抜け出せないのだ。

MJQの音楽の大きな魅力はメンバー4人の調和の取れたアンサンブルの素晴らしさである。
モダン・ジャズにおいてアンサンブルといえば作曲や編曲された部分というイメージが強く、ジャズの即興演奏の自由さとは正反対と思われるかもしれないが、MJQの場合、即興部分においては個々のメンバーが思う存分演奏を繰り広げられているから、決して窮屈な印象はない。
むしろ、MJQの演奏はその作曲部分と即興部分のバランスが絶妙なのである。

また、その音楽性はかなりセンシティヴな印象もあるが、ビル・エヴァンス等のような洗練された白人ジャズともかなり異なる。
主にミルト・ジャクソンの黒人らしいブルース・フィーリングと、ジョン・ルイスのヨーロッパのクラシック音楽からの影響という二つの要素を融合したアンサンブルの妙は他に求めがたい独自の美しさを持つ。

そして、グループにはソロイストとしてミルト・ジャクソン(vib)とジョン・ルイス(p)の二人が存在し、それぞれのソロの魅力も素晴らしいが、パーシー・ヒース(b)、コニー・ケイ(ds)の二人のいぶし銀の演奏もまたなんとも味わい深い。
この4人のアンサンブルはジャズの自由さと共にメンバーの深い知性、そして品格の高さを感じさせる。
なにより個々のメンバーの音色が美しい

ところで、彼らのCDはほとんどがプレスティッジレーベル(日本ではビクター)、アトランティックレーベル(日本ではワーナー)から出ているが、何を聴くかは少々注意が必要である。
彼らの素晴らしいサウンドを味わうには、オリジナル・マスターからリマスタリングされたアルバムがベストであり、できるならこれ以外は避けるべきだ。

プレスティッジレーベルなら近年発売されたルディ・ヴァン・ゲルダーがリマスターしたCD、アトランティックレーベルなら2006年リマスターと謳っているオリジナル・マスターを使用したCDが望ましい。
(アトランティックレーベルでは、最近発売されたSHM-CDもそのようなのでお奨め。話は変わるが、ブルーノートのCDは国内盤、輸入盤ともにルディ・ヴァン・ゲルダー・リマスターRVG)と謳ったCDを絶対に買うべきだ。最近1100円でブルーノートの国内盤CDが数多く発売されているが、これらは日本のメーカーがリマスターしたものであり音質が全く違う。値段の安さに騙されてはいけない。)

なぜオリジナル・マスターかといえば、音の質感が全然違うからで、MJQのサウンドの魅力が生々しい音質によってダイレクトに伝わるからである。
ラスト・コンサート』、『ジャンゴ』、『コンコルド』、『フォンテッサ』、『モダン・ジャズ・カルテット』、『ピラミッド』など個人的に好きなアルバムは数多くあるが、第一のお勧めはやはり『ヨーロピアン・コンサート』である。
この項終わり
 

7_46153.jpgモダン・ジャズ・カルテットMJQ)のライヴ・アルバム『ヨーロピアン・コンサート』(60)について書いてみる。
このライヴ盤は、MJQの1960年4月の欧州ツアー時に、スウェーデンのストックホルムとイエテボリで収録されたもの。

これはジャズ史上でも名盤の誉れ高いアルバムであるが、私にとっても無人島に一枚的な存在のCDである。
MJQはスタジオ録音のものにも良いものはたくさんあるが、とりわけライヴがいい。
そして、MJQのライヴ盤といえば、これと『ラスト・コンサート』(76)が双璧である。

演奏に漲る底力や、一期一会的な特別な雰囲気という意味では『ラスト・コンサート』の方が上であるが、『ヨーロピアン・コンサート』は正に全盛期にあったMJQの余裕溢れる卓越した演奏力がじっくり味わえる作品となっている。
この優れた二種のライヴの優劣を決めることは難しく、聞き手の好みの問題でしかないと思う。

『ヨーロピアン・コンサート』の利点は選曲と並び順である。
代表曲が大方含まれている上、個人的に好きな『ヴァンドーム』や『ピラミッド』などが含まれているのもポイントが高いし、2枚組ながら収録時間も長すぎないので聴き通すのが全く苦にならない。
ちなみにメンバーのジョン・ルイスが音楽を担当し、ジャン=ピエール・メルヴィルがこよなく愛したことでも知られる映画『拳銃の報酬』(59年。ロバート・ワイズ監督)のテーマ音楽『ODDS AGAINST TOMORROW』(邦題『明日に賭ける』)もこれに収録されている。

ところで、この『ヨーロピアン・コンサート』というライヴ・アルバムは昔から名盤として有名であるから、私も初めて聴いたのはかれこれ15年以上は前のことである。
しかし、その時は全くと言ってよいほど良さが分からなかった。

まず、MJQのサウンドが当時の私の耳には異質に響いた。
当時私が馴染んでいたジャズは、管楽器奏者がソロイストを務める50~60年代のジャズ、つまりはハードバップが主であったが(今もさして変わらないが…)、ご承知のようにMJQにはそれとは対照的に管楽器リード奏者が存在しないし、またヴィブラフォンが加わったカルテット編成ということもあり、通常のピアノトリオともサウンドの印象が大きく異なる。
なにより当時はミルト・ジャクソンのヴィブラフォンの音色がどうにも耳に馴染めなかったのだ。

それに加えて、彼らのオリジナル楽曲もさして良いとも思えなかった。
例えば、代表曲である『ジャンゴ』なんてひどく退屈に聞こえてしようがなかった。(今では超名曲にしか聴こえないのが不思議…)

実のところ、MJQの良さが本当に分かり始めたのはこの5年くらいのことである。
そのキッカケは、MJQそれ自体を聴いて良さが分かったというよりは、他のジャズを聴いてヴィブラフォンという楽器の魅力に気づいたことが大きかったように思う。
この項続く
 

マックス・オフュルス監督の『たそがれの女心』を国内盤DVD(IVC)で観た感想。

MADAME DE...』(53年)
監督:マックス・オフュルス
脚本:マックス・オフュルス、マルセル・アシャール、アネット・ワドマン
撮影:クリスチャン・マトラ
音楽:ジョルジュ・ヴァン・パリス
出演:ダニエル・ダリュー、シャルル・ボワイエ、ヴィットリオ・デ・シーカ、ジャン・ドビュクール

初見。
クラシカルなコスチュームもののメロドラマ。
題材的にはあまり好みでないのですが、マックス・オフュルス監督作品、そしてダニエル・ダリュー他の豪華キャストに興味があったので観てみました。

マックス・オフュルス監督といえば流麗なるカメラワークということで一般的にも有名なようですが、実際、この作品でのカメラワークも俳優の動きに吸い付くようにピタリとはまっており見事です。

主演の3人も素晴らしい。
ダニエル・ダリューはタメ息ものの美しさで演技もうまい。
その夫役のシャルル・ボワイエもさすがにいいですね。
ダニエル・ダリューもそうですが、こういったコスチュームものを演じて、昨今の俳優には見られないノーブルな雰囲気、立ち振る舞いを見せてくれ、いかにもヨーロッパの名優、名女優という存在感を示しているのが素晴らしいと思います。

その二人に絡むヴィットリオ・デ・シーカはイタリア映画の名監督として有名な人ですが(代表作品に『自転車泥棒』、『ひまわり』など)、もともと俳優出身の人であり、ここでも俳優としても見事な演技を見せてくれます。

c6e96f51.jpeg個人的にいつもお世話になっておりますチェイサー様のブログ『LE REGARD D'ALAIN DELON』におきまして「あなたが好きなドロン作品ベスト5」と題しましたアラン・ドロン出演作の人気投票が行われました。
先日結果が発表されましたので拙ブログでも紹介いたします。(結果を掲載した記事へのリンク

私ももちろん投票しましたが、嬉しいことに、なんと我らがジャン=ピエール・メルヴィル監督作品『サムライ』(67)が『太陽がいっぱい』(60)他を抑えて1位に輝きました。
また、同じくメルヴィル監督作品『仁義』(70)が大健闘(?)の5位に入りました。

言うまでもなく、数多いアラン・ドロン出演作品の中からベスト5に入ることだけでも大変なことですが、まさか『サムライ』が1位になるとは思ってもみませんでしたので、これは本当に嬉しい驚きでした。
もちろん、『仁義』の意外な(?)人気の高さも嬉しい限りです。
ファンの一人としてメルヴィル監督作品の人気の高さを改めて思い知った次第です。

ちなみに、拙サイトで昨年行ったメルヴィル作品の人気投票でも『サムライ』が1位でした。(その時の結果はこちら

久々に山本陽一という懐かしい名を目にした。
良いニュースではないのが残念だが…。
リンク

山本陽一といって思い出すのは『パンツの穴』(鈴木則文監督)である。
菊池桃子のスクリーン・デビュー作としても知られる84年の映画だ。

私はこの映画を観たのは(どこでどのように観たのか未だによく覚えていないのだが…)、当時菊池桃子のファンだったから。
彼女がデビューしてから2~3年はファンだったんじゃないかな…。

当時の菊池桃子は女優というよりは歌手として活躍していたが、セカンドシングル『Summer Eyes』でファンになり、続いて発売された1stアルバム『Ocean Side』は超名盤と言ってよいような素晴らしい内容だった。
なにしろ全曲が林哲司の作曲とサウンドプロデュースによるもので、歌はどうしようもなくヘタだったが、幸い彼女は楽曲に恵まれていた。
このアルバムは最初LPで買って、後にCDでも買い直したくらいである。

彼女は現在でもテレビによく出るしあの年代にしては美貌をよく保っていると思うが、今では全く何の興味もなくなってしまったのが自分でもおかしい。

パンツの穴』に話を戻すと、内容はハチャメチャな青春映画で、当時とすればかなりH(表現が古い…)な内容だったのだが、映画の中での菊池桃子の輝きは凄かった。

それとともに是非ここに書き残したいのは『パンツの穴』のサウンドトラックについてである。
映画の中で使われた音楽が実に感動的で素晴らしかったので、当時サウンドトラックのLPを買ったほどだった。
そのジャケットもタイトルもどんなアーティストが作曲したものかも覚えていなかったが、さっきネットで調べてみたら、惣領泰則とジム・ロックスによるものだということが分かった。
残念ながらCD化はされていないようだが…。

YouTube『パンツの穴』オープニングとクライマックスシーンの動画リンク
本当は動画を直接ブログに貼りたいのだが、この動画に関してはできないのでご勘弁…。

ちなみに動画の前半は映画のオープニングでバックに山本陽一の歌、動画の1分50秒くらいからバックに惣領泰則とジム・ロックスによる『LOVING CARE』が流れる。
このシーンが菊池桃子も含め実にいいので是非観て欲しい。
オープニングシーンの菊池桃子の登場シーンも印象的で、昨今のアイドル(?)が束になっても敵わぬオーラが当時の彼女にはあると思う。

ジャック・ドゥミ監督の『天使の入江』を国内盤DVD(紀伊国屋書店『ジャック・ドゥミ初期作品集DVD-BOX』収録)で観た感想。

LA BAIE DES ANGES』(62年)
監督・脚本:ジャック・ドゥミ
撮影:ジャン・ラビエ
音楽:ミシェル・ルグラン
出演:ジャンヌ・モロー、クロード・マン、ポール・ゲール、アンナ・ナシエ

初見。
ジャック・ドゥミ監督の長編第2作にあたる作品で、あの『シェルブールの雨傘』(63)の一つ前にあたる作品。
これはずっと日本未公開だった作品だが、観てみるとストーリーも面白く、なかなかの良作と感じた。

主演のジャンヌ・モローが破滅的な女ギャンブラー、ジャッキーを演じていて、これが凄い。
有り金を次々とギャンブル(ルーレット)に注ぎ込む様は、メルヴィルの『ボブ』も顔負けの賭博師ぶりである。
外見的にはかなり老けて見えるのでさして魅力的とは思えないが、そのファム・ファタール的な存在感、キャラで魅せる。

相手役ジャックを演じるのがクロード・マン
あのメルヴィルの『影の軍隊』(69)で“マスク”を演じた俳優である。
この『天使の入江』が映画初出演というが、初出演とは思えないしっかりした演技だった。
どういうわけか他の出演作を観る機会がほとんどない俳優なので、初出演にして主演作を観ることができるこの作品は貴重である。
銀行員という堅物の若者が遊び人の友人の影響でギャンブルにのめり込んでしまうという、いかにも“ヌーヴェル・ヴァーグ”的なナイーブな役柄だが、これを瑞々しい存在感で演じていて好演。

一回りも年齢が違うジャンヌ・モローとは恋人というよりはまるで母と子供のようだが(ジャンヌ・モローが1928年生まれ、クロード・マンが1940年生まれ)、ある意味その関係性がこの作品では面白いとも言える。

音楽はやはりミシェル・ルグランで、同じピアノのテーマが何度も繰り返し使われている点はちょっと不満が残るが、メロディそのものはやはり魅力的。
ジャン・ラビエのカメラがいい。

国内盤DVDの画質は観にくくはないのだが全体的に暗めで多少不満が残る。

[105] [106] [107] [108] [109] [110] [111] [112] [113] [114] [115]
テンプレ作った人:おみそ
今すぐブログ始めるなら:[PR]

PR:忍者ブログ
ブログ内検索
プロフィール
HN:
マサヤ
性別:
男性
趣味:
フランス映画、ジャズ
自己紹介:
フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
リンク、コメント、TB等はご自由にどうぞ。
カテゴリー
最新コメント
[04/14 マサヤ@管理人]
[04/10 mon]
[11/07 マサヤ@管理人]
[11/06 mon]
カウンター
忍者AdMax
NINJA TOOLS
アーカイブ