[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ようやく『賭博師ボブ』の国内盤DVDを入手しました。
HPのBBSにも書きましたが、予期せぬアクシデントがあり、アマゾンから配送されなかったため、これをキャンセル、店頭で購入しました。
買ったお店は、新宿の紀伊国屋書店DVDアイランド。
今月いっぱいまで廉価盤DVDの20%オフキャンペーンをやっているため、20%の1200円で購入できました。
アマゾンの10%オフよりお得です。
まぁ、メルヴィルのDVDを安く買おうなどと欲深いことを考えているわけではありませんが、今回の対応ではアマゾンにかなり失望させられたので、それよりも安く手に入れられたので少しは溜飲が下がりました。
DVDの内容に関しては、いずれHPの方で紹介するつもりですが、20分ほと観た感じでは画質は良好です。
ただ、個人的にこれまでPAL盤でこの作品を観た経験がないこともあり、スピードアップによるピッチの高さがかなり気になります。
冒頭のメルヴィルのナレーションも、ピッチが高いので、メルヴィルの声だと分からないくらいなので、これは面食らいました。
あと、ユニバーサルのお家芸といえる字幕も、かなり直訳調でこなれていないのが気になりますし、表示されている字の書体も安っぽいです。
とりあえず、現段階ではこのような感じです。
マルセル・カルネ監督の『港のマリー』を国内盤DVD(ジュネス企画)で観た感想です。
『LA MARIE DU PORT』(49年)
監督:マルセル・カルネ
撮影:アンリ・アルカン
音楽:ジョセフ・コズマ
出演:ジャン・ギャバン、ニコール・クールセル、クロード・ロマン、ブランシェット・ブリュノワ、ジャヌ・マルカン、ガブリエル・フォンタン、ジュリアン・カレット
初見。
中年男と若い女性の微妙な恋愛模様を描いたメロドラマ。
決してつまらない作品ではありませんし、悪い作品でもないのですが、マルセル・カルネ監督が脚本家ジャック・プレヴェールと別れた後の作品であるせいでしょうか、正直なところ、どこかピリッとしないといいますか、締まりがない感じがする作品です。
登場人物の行動心理が、もう一つ観客に伝わってこないせいでしょうか。
港が作品の舞台になっているのは風情があって良いのですが、その点がこの作品ならではという魅力とまではなり得ていない感があります。
ジャン・ギャバンは存在感、演技ともに良いのはいつも通り。
この頃は50年代以降よりも少し痩せていて、その精悍な表情はさすがに魅力的です。
しかし、役柄の性格がどっちつかずといいますか、ジャン・ギャバンにしては説得力に欠けます。
マリーを演じたニコール・クールセルは、美貌、演技ともに役柄にピッタリでとても良かったと思います。
そのマリーの姉で、ギャバンの妻(愛人?)役のブランシェット・ブリュノワもなかなか魅力的でした。
名キャメラマン、アンリ・アルカン(メルヴィルの『この手紙を読むときは』(53)の撮影も担当)の奥行きのある美しい映像は、この作品の雰囲気にとても合っています。
ジャック・ベッケル監督の『偽れる装い』を国内盤DVD(紀伊国屋書店レーベル)で観た感想です。
『FALBALAS』(45年)
監督:ジャック・ベッケル
脚本:ジャック・ベッケル、モリス・オベルジェ、モリス・グリフ
撮影:ニコラ・エイエ(アユール)
音楽:ジャン=ジャック・グリュネンヴァルト
出演:レモン・ルロー、ミシュリーヌ・プレール、ジャン・シュヴリエ、ガブリエル・ドルジア、ジャンヌ・フュジエ=ジール、フランソワーズ・リュガーニュ
初見。
ジャック・ベッケル監督の珍しい作品がこの度目出度く紀伊国屋書店レーベルより国内DVD化されることになりました。
今回取り上げる『偽れる装い』と、今月末に発売される『アリババと四十人の盗賊』(54)の2作です。
先に発売された『偽れる装い』はオート・クチュール界を舞台にしたメロドラマです。
ところで、ベッケルの未公開作では、昨年、映画祭『フランス映画の秘宝』で上映された処女作『最後の切り札』(42)を見逃してしまったのが返す返すも残念でした。(どこかでまた上映しないかなぁ…)
題材的にも、刑事モノだということで、大変興味深かったのですが。
それはともかく、この『偽れる装い』は個人的な関心からいったら、題材的には今一つ興味を惹くものではなかったのですが、ジャック・ベッケルの作品はこれからいろいろ観ていきたいと考えていることもあり、値段が高いDVDを思い切って購入して観てみたという次第です。
観た感想ですが、これは…紛れもない傑作です。
緻密な脚本、演出がとにかく素晴らしい。
後の傑作『肉体の冠』(53)をどこか彷彿とさせるドラマ構成で、内容も大変面白く、観ている間中、改めてジャック・ベッケルという監督は凄い監督だなぁとの思いを強くしました。
まさに監督の名声に恥じない見事な作品です。
キャストも良かった。
レモン・ルロー演じるファッション・デザイナー(フィリップ・クラランス)は、観る側が感情移入できない、全くもって自分勝手な男で、普通なら、こんな主人公が出ている映画は好きにならないのですが、不思議とこの映画にはそんな思いは抱きませんでした。
実際、演技も良かったと思います。
ミシュリーヌ役のミシュリーヌ・プレールは、若い頃のシモーヌ・シニョレ、ロミー・シュナイダーをどこか思い起こさせる古風な美貌の女優で、確かに美しいのですが、正直なところ私好みの容姿ではありません。
ところが、映画が進むにつれ、いつしか彼女の魅力に惹き込まれたのは自分でもビックリです。
脇では、ダニエル役のジャン・シュヴリエ、アンヌ=マリー役のフランソワーズ・リュガーニュも良かったのですが、なんといっても、ソランジュ役のガブリエル・ドルジアが素晴らしかった。
彼女は先日このブログでも紹介した『旅路の果て』(38年、ジュリアン・デュヴィヴィエ)も良かったのですが、この『偽れる装い』ではそれ以上に出番も多く、嬉しかったですね。
最後に、気になるDVDの画質ですが、紀伊国屋レーベルのDVDの画質のレベルからいったら、正直なところ、決して良い方とは言えません。
同時期のフランス映画では、発売済みのロベール・ブレッソン監督の『ブローニュの森の貴婦人たち』(45)も画質はあまり良くなかったですが、これはそれと同等程度か、若干上回る感じだと思います。
作品が進むにつれ、不思議と気にならなくなりましたが…。
ジャン=リュック・ゴダール監督の『メイド・イン・USA』を国内盤DVD(ハピネット・ピクチャーズ)で観た感想です。
『MADE IN U.S.A.』(67年)
監督:ジャン=リュック・ゴダール
原作:リチャード・スターク
脚本:ジャン=リュック・ゴダール
撮影:ラウール・クタール
音楽:ベートーヴェン、シューマン
出演: アンナ・カリーナ、ラズロ・サボ、ジャン=ピエール・レオー、マリアンヌ・フェイスフル、小坂恭子
再見。
アンナ・カリーナを主人公とした女探偵もの。
60年代に実際にフランスであった警察とギャングの癒着を描いたという原作の映画化とのことです。
ところで、以前この作品を初めて観た時、どうしても通して観ることができませんでした。
マリアンヌ・フェイスフルが『アズ・ティアーズ・ゴー・バイ』をアカペラで歌うあたりになるとなぜか強烈な睡魔が襲ってきて…。
結局、2、3度チャレンジして、ようやく通して観れたのでした。
そのせいもあってか、ゴダール×アンナ・カリーナの作品中では、つまらない部類の作品というイメージが私の中では記憶されてしましました。
で、今回久しぶりに見直して見たのですが、前回の印象がなんだったのかというくらい、びっくりするくらい良かったのです。
といって、ストーリーが理解できたとか、政治的な言葉の意味が理解できたとかいうわけではありません。
その辺りは相変わらず意味不明。
役名すらキチンと追うことができませんでしたし、どこか『アルファヴィル』っぽい声のテープレコーダーの左翼アジテーションはほとんど理解できません。
しかし、アンナ・カリーナが例によって強烈に魅力的で、彼女の顔、ファッション、演技を観ているだけで、個人的には充分なのでした。
この作品はアンナ・カリーナが出演したゴダール作品の最後に当たる作品ですが、ゴダールもそれを予感していたせいでしょうか、アンナ・カリーナをひたすら愛でているような撮り方をしています。
とにかく彼女のアップが多い!
また、アップが多かったのでよく分かったのですが、彼女の唇の微妙な演技(変化?)が素晴らしかった。
色とりどりの彼女のファッションも魅力的で、彼女の立ち振る舞いを見ているだけで、ストーリーや理解を超えた魅力を放っている作品となっているように思います。
それに、この作品は、アンナ・カリーナのファッションに代表される、ゴダールらしいカラフルな映像感覚が冴え渡っている作品です。
使われている音楽はベートーヴェンとシューマンで、音楽のぶつ切りの使い方が相変わらず巧い。
ただ、『運命』(?)の一節以外は何の楽曲か分かりませんでした。
他のキャストでは、いつもゴダール作品にチョイ役で登場するラズロ・サボが、ここまでちゃんとした演技をしている作品は貴重かもしれません。
ジャン=ピエール・レオーの訳の分からない存在感も印象的で、彼ならではの適役ぶり。
無表情な刑事たちの佇まいも、また作品に合っています。
映画監督フィリップ・ラブロがラストシーンに出ています。(フィリップ・ラブロについては以前のブログ記事を参照)
DVDの画質は、まずは満足できるものでした。
ジャン=リュック・ゴダール監督の『女は女である』(シネフィル・イマジカ)を国内盤DVDで観た感想です。
『UNE FEMME EST UNE FEMME』(61年)
監督:ジャン=リュック・ゴダール
原案:ジュヌヴィエーヴ・クリュニ
脚本:ジャン=リュック・ゴダール
撮影:ラウール・クタール
音楽:ミシェル・ルグラン
出演:アンナ・カリーナ、ジャン=ポール・ベルモンド、ジャン=クロード・ブリアリ、マリー・デュボワ、ジャンヌ・モロー、カトリーヌ・ドモンジョ
再見。
ゴダールの長編第3作で、初のカラー作品。
DVDの解説によれば、フランスコープという撮影方法の違うシネマスコープが用いられたワイドスクリーン作品であり、出演者が歌わないミュージカル映画としても知られた作品です。
以前観た時はかなり楽しめた作品でしたが、今回久々に観て、特に前半部分がどことなく退屈に感じられました。
他にいろいろなゴダール作品を観た後だからでしょうか、個人的に、この作品のアンナ・カリーナに後年ほどの魅力を感じません。
この『女は女である』はゴダールとアンナ・カリーナの結婚直前という幸福な時期に撮られた作品であり、確かにそういった雰囲気は魅力的であるものの、後の二人の関係が悪化してからの作品の方が、アンナ・カリーナの女優としての一層の個性、魅力が記録されているように思います。
それと、以前観た時は、この作品はもっと明るい印象があったのですが、今回見直してみて、それほど明るくないなぁ、という印象を持ちました。
何故なんでしょう。
ジャン=ポール・ベルモンドとジャン=クロード・ブリアリの役柄がどことなく中途半端で、二人の魅力が今一つという印象だからでしょうか。
もしかすると、男の立場からでは身につまされるようなシーンが多いせいかもしれませんね。
また、今回見直してみて、私は、この作品にミュージカルというよりも、ミシェル・ルグランのオペラ作品のようなイメージを感じました。
音楽はブツ切れながらも始終鳴っているのに、出演者の会話は続くという、ある意味アリアのないオペラ、つまりレチタティーヴォの連続といった感じなんですよね。
もちろん、ルグランの音楽は充分に魅力的なので、それはそれで面白いのですが。
あと、途中でのシャルル・アズナブールの歌のシーンは、何か妙にズシリと来ました。
歌詞はかなりヘンですが、あの歌はいいと思いました。
また、アズナブールといえば、マリー・デュボワが『ピアニストを撃て』の話をしたり、ワンシーンのみ出演のジャンヌ・モローが『突然炎のごとく』の話を振られたりと、この時代の他のヌーヴェル・ヴァーグの作家たちとゴダールの親密な関係も思い起こさせる作品でもあります。
ちなみに、ベルモンドがカリーナを口説く際に話していた女性の二通の手紙のエピソードは、後に『パリところどころ』(65年)で、ゴダール自身が映画の題材として使うことになります。
今回私が観たDVDは、以前発売されていた方のもので、画質はあまりよくありません。
ポップな色彩感覚が楽しめる作品ですので、できれば良い画質で観たいところ。
撮影監督ラウル・クタールが監修したという、現在発売されているHDリマスター盤の画質はどうなのでしょうか。
機会があれば、そちらのDVDで是非一度観てみたい作品ではあります。
フリッツ・ラング監督の『M』を国内盤DVD(紀伊国屋書店)で観た感想です。
『M』(31年)
監督:フリッツ・ラング
原作:エゴン・ヤコブソン
脚本:テア・フォン・ハルボウ、フリッツ・ラング
撮影:フリッツ・アルノ・ヴァグナー
出演:ペーター・ローレ、オットー・ベルニッケ、グスタフ・グリュントゲンス、エレン・ウィドマン、インゲ・ランドグット、フリッツ・グノス
再見。
この作品はフリッツ・ラング監督の初のトーキー作品だそうです。
以前観た時はI○C盤のDVDだったのですが、例によって画質が非常に悪く、そのせいもあって心行くまで楽しめなかったような覚えがあります。
今回観た紀伊国屋書店レーベルから出ているDVDは、1931年という時代の映画としては驚異的なほど画質が良く、以前観た時に感じた不満が全くといってよいほどありませんでした。
価格こそ高いものの、特典映像や解説リーフレットも充実しているこのDVDは、作品が好きな方なら買っても絶対に損はないでしょう。
それはともかく、この作品を久々に観たわけですが、やはりこれはスゴイ作品です。
オープニングからして子供たちの不吉な歌から始まるという、悪夢のような作品内容に相応しい幕開けですが、幼女殺害、そして犯罪者の異常心理という、現代でも通用する題材を、この時代に映画作品として成立させた、フリッツ・ラング監督の演出ぶりが見事です。
トーキー初期ということもあってか、ところどころにあえて静寂を活かした(?)演出が効果的で、随所に光る斬新なカメラワーク、音楽(ペーター・ローレが口笛で吹くグリーグの『ペール・ギュント』のメロディー)の使い方など、大変印象的です。
犯罪者を暗黒街の住人たちが追跡するという意外な展開、そして、犯罪者を告発する民衆たちの反応が、異様な迫力を持って描かれています。
それでいて、犯罪者の言い分、主張も盛り込みながらも、犯罪者を徹底的に突き放した演出者の視点が、重苦しすぎたり暗すぎたりなりがちなところから映画を救い上げているようにも感じられます。
キャストでは、主演のペーター・ローレの存在感と熱演ぶり、その怯えた表情の魅力(?)が天下一品と言えるのではないでしょうか。
ところで、このDVDの特典映像はまだ途中までしか観ていませんが、44ページに及ぶ解説リーフレットでは、大塚真琴氏による、この映画の主演ペーター・ローレの貴重な評伝が読めます。
以前挙げた私の好きなジャズ・アルバム・ベスト20の中から今回取り上げるのは⑭(順位ではありません)に挙げたミルト・ジャクソン&ジョン・コルトレーン『バグス・アンド・トレーン』。
MILT JACKSON & JOHN COLTRANE『BAGS & TRANE』(59年)
①バグス・アンド・トレーン②スリー・リトル・ワーズ③ナイト・ウィ・コール・イット・ア・デイ④ビ・バップ⑤ザ・レイト・レイト・ブルース(国内盤CDにはボーナス・トラックあり)
ジョン・コルトレーン(ts)、ミルト・ジャクソン(vib)、ハンク・ジョーンズ(p)、ポール・チェンバース(b)、コニー・ケイ(ds)
ミルト・ジャクソンとジョン・コルトレーンの珍しい共演作。(アルバム名にある“バグス”とはミルト・ジャクソンの愛称)
こういった企画物(?)は概してジャズ・ファンの間で評価が低くなりがちです。
確かにコルトレーンのファンならコルトレーンのリーダー作を聴きたいでしょうし、ミルト・ジャクソンのファンであっても同様でしょう。
アルバムとしての知名度もそれほど高くありません。
しかし、このアルバムを侮るなかれ。
とにかく、ここで展開されている音楽の内容が実に素晴らしい。
まず、コルトレーンとミルト・ジャクソンの音楽性が予想以上にシックリ合っており、聴いていて違和感が全くありません。
おそらく、二人が持っているブルース・フィーリングの根っこの部分がよく似ているからでしょう。
それは他のメンバーも同様で、このアルバムのみの編成というのが意外な印象すらあります。
私の聴いた感じでは、ポール・チェンバースのベースが、バンドの音楽性をうまくまとめている印象で、その影響でしょうか、コニー・ケイのドラムが、MJQの時よりも開放的でアグレッシヴに感じられます。
ハンク・ジョーンズのピアノは、他のメンバーに比べると、いかにも地味なプレイですが、その味わい深さは格別。
また、ピアノ・ソロのバックで聴かれるポール・チェンバースのうねるようなフレージングも素晴らしい。
そして、なんといっても、このアルバムのジョン・コルトレーンのテナーの音色の素晴らしさといったらありません。
実に堂々とした立派な音色で、ソロの内容も素晴らしい。
また、ここではフレージングも丁寧で、60年代以降顕著となるフリーキーなトーンや、無意味に速いフレーズもここには全くと言ってよいほどありません。
その意味では、このアルバムが録音されたのが59年という年代の影響は大きいでしょう。(個人的には50年代後半から60年代初めくらいのコルトレーンのプレイが好きです)
もちろん、ミルト・ジャクソンのプレイは、いつもながら例えようもないほど見事で、ソロはもちろん、ところどころで聴かれるコルトレーンとの掛け合いは、このアルバムの大きな聴き所の一つです。
とにかく、これは実にリラックスした雰囲気を持ったアルバムでもあり、ジャズの魅力ををじっくり味わえる珠玉の名盤だと思います。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
リンク、コメント、TB等はご自由にどうぞ。