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ジャック・ドゥミ監督の『ローラ』を国内盤DVD(紀伊国屋レーベル『ジャック・ドゥミ初期作品集DVD-BOX』)で観た感想。
『LOLA』(61年)
監督・脚本:ジャック・ドゥミ
製作:カルロ・ポンティ、ジョルジュ・ドゥ・ボールガール
撮影:ラウール・クタール
音楽:ミシェル・ルグラン
出演:アヌーク・エーメ、マルク・ミシェル、ジャック・アルダン、コリンヌ・マルシャン
初見。
ようやくこの作品を見ることができて、発売元の紀伊国屋に感謝である。
この作品の評判については、“ヌーヴェル・ヴァーグの真珠”と、かのジャン=ピエール・メルヴィルが評した言葉が(私の中では)独り歩きしてる感があったが、なるほど“真珠”とは巧い表現だとこの作品を見てつくづく思った。
ダイヤなどのような高級宝飾品の燦然たる輝きや派手さはないかもしれないが、真珠のような清らかな(?)透明感を感じさせる作風なのである。
まぁ、メルヴィルの意図はまた別にあるのかもしれないので、私のは的外れな指摘なのかもしれないが…。
この作品の魅力だが、まず、ラウール・クタールの自然光を生かした撮影がなんとも素晴らしい。
極端な話、この作品は映像を観ているだけで十分満足感があるほどである。
そして、事実上の主演といえるマルク・ミシェルのナイーブな感性が魅力的である。
以前このブログで紹介した『シェルブールの雨傘』での演技も良かったがあれはあくまでも脇役であり、この作品はジャック・ベッケルの『穴』(60)と並んで彼の代表作と言ってよいのではないかと思う。
一方でヒロインのローラ役アヌーク・エーメは踊り子という彼女としては意外な(?)役柄で、演技と存在感はさすがだが、せっかくの美貌が濃い化粧によって損なわれているように見えるのは残念な気がした。
以前紹介した私の好きなジャズ・アルバム・ベスト20の中から今回取り上げるのは⑲(順位ではありません)に挙げたマイルス・デイヴィス『マイルス・イン・ベルリン』。
①マイルストーンズ②枯葉③ソー・ホワット④星影のステラ⑤ウォーキン⑥ゴー・ゴー(テーマ&アナウンスメント)
マイルス・デイヴィス(tp)、ウェイン・ショーター(ts)、ハービー・ハンコック(p)、ロン・カーター(b)、トニー・ウイリアムス(ds)
64年 ベルリン・ジャズ・フェスティバルの行われたベルリン・フィルハーモニック・ホールでライヴ録音
ジャズのベストアルバム20に入れるくらいだから、マイルス・デイヴィスのアルバム中でもとりわけ好きなアルバムであるのは当然だが、それと同時に個人的に思い入れの強いアルバムでもある。
学生時代にこれからジャズを聴こうと思い立ち、始めにレンタルしたCDの中の一枚がこれだったからだ。
当時マイルス・デイヴィスのものが何か聴きたかったのだが、見るからに良さそうな雰囲気のCDがレンタル店にこれしかなかった。
メンバーも曲もよく分からぬままにこのCDを借りたのだが、音楽のあまりのカッコ良さに衝撃を受け、お陰でジャズに目覚めてしまい、以後20数年聴き続けているというわけだ。
そういう意味では実に罪深いCDであるとも言える。
個人的な思い入れは別としても、このライヴ・アルバムは今聴いても実に素晴らしい。
マイルスのライヴ盤は他のものもかなり聴いたが、ウェイン・ショーターが初参加したばかりというグループ内のテンションの高さと演奏内容の見事さ、収録楽曲の魅力など、一枚のアルバムとしてのバランスではやはりこれが一番だと思う。
メンバーも誰が良いとか悪いとか言う以前にとにかくこのアルバムの全てがカッコいい。
とりわけ①は何度聴いても感動してしまう。
グラント・グリーン『サンデイ・モーニン』のご紹介。
GRANT GREEN『SUNDAY MORNIN'』(ブルーノート)
①フリーダム・マーチ②サンデイ・モーニン③栄光への脱出④ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド⑤カム・サンライズ⑥ソー・ホワット
グラント・グリーン(g)、ケニー・ドリュー(p)、ベン・タッカー(b)、ベン・ディクソン(ds)
61年4月録音
一般的にグラント・グリーンの名盤としてはまず『フィーリン・ザ・スピリット』(62)、そして以前このブログでも紹介した『アイドル・モーメンツ』(63)が挙げられるだろう。
確かにその2作は素晴らしいが、この『サンデイ・モーニン』は個人的にその二つに劣らぬほど好きなアルバムである。
好きな要素としては、まず何よりグリーン本人のリラックスした演奏の良さとギターの音色の魅力、そして、アルバム全体の流れの良さと適度に明るい雰囲気、『栄光への脱出』の名演、ベースのベン・タッカーの良さなどが挙げられる。
ことに③『栄光への脱出』はアーネスト・ゴールド作曲、オットー・プレミンジャー監督、ポール・ニューマン主演による映画のサントラのジャズ化だが、これが実にいい。
もともと私はこの曲が好きなのだが、ここではサラッとした小粋なアレンジに仕上がっており、それが決して原曲の良さを損なっていない。
なんともセンスの良い演奏である。
一方で、マイルス・デイヴィスの⑥『ソー・ホワット』は悪くはないという程度。
むしろ、グリーンのオリジナル②と⑤の良さを推したい。
グリーン以外のメンバーではケニー・ドリューのピアノも効いているが、なんといってもベン・タッカーのズンズン響くベースプレイが魅力的であり、グリーンとの相性も抜群である。
またもやリー・モーガンのリーダー・アルバムのご紹介。
LEE MORGAN『TOM CAT』
①Tom Cat②Exotique③Twice Around④Twilight Mist⑤Rigormortis
リー・モーガン(tp)、ジャッキー・マクリーン(as)、カーティス・フラー(tb)、マッコイ・タイナー(p)、ボブ・クランショウ(b)、アート・ブレイキー(ds)
録音:64年8月(ブルー・ノート)
何故か長らくオクラ入りだったアルバムで、そのせいか、いまだに国内盤のCDは発売されていない。
しかし、これはリー・モーガンの隠れた名盤である。(タワレコやHMVの大手輸入盤店ならばRVGリマスターのアメリカ盤が比較的容易に入手できる)
お蔵入りになったのが信じられないほど参加メンバーも魅力的だが、とにかくこのアルバムは内容が素晴らしい。
④だけがマッコイ・タイナーの作品で、他はすべてリー・モーガンのオリジナル。
収録曲全てがいいが、やはりというか、御大アート・ブレイキーのスケールの大きさ、“雰囲気作り”に魅了される。
①の冒頭から一挙に惹きつけられるが、こういった演奏を聴くと、他のドラマーとは格が違うと改めて思わされてしまう。
そして、続く②がアルバムのクライマックスと思いきや、③が更に素晴らしい。
リー・モーガンのソロもいいが、ジャッキー・マクリーンのソロが短いながら最高。
これぞジャズ、これぞハード・バップといった最高の曲、演奏である。
④はバラードだが、ここではピアノのマッコイ・タイナーが信じがたい美音を聴かせる。
前にも書いたが、ブルーノートのマッコイは本当にいい。
⑤は前半3曲に比べれば若干テンションが落ちるが、このトラックが悪いというより前半3曲が良過ぎるのである。
ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の『フランス式十戒』を国内盤DVD(紀伊国屋レーベル)で観た感想。
『LE DIABLE ET LES DIX COMMANDEMENTS』(62年)
監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ
脚本:ジュリアン・デュヴィヴィエ、ルネ・ヴァルジャヴェル
撮影:ロジェ・フェルー
音楽:ジョルジュ・ガルヴァランツ、ギ・マジャンタ、ミシェル・マーニュ
出演:フランソワーズ・アルヌール、シャルル・アズナヴール、ジャン=クロード・ブリアリ、ダニエル・ダリュー、アラン・ドロン、フェルナンデル、メル・ファーラー、ミシュリーヌ・プレール、マドレーヌ・ロバンソン、ミシェル・シモン、リノ・ヴァンチュラ、ジョルジュ・ウィルソン、ルイ・ド・フュネス
初見。
7話からなるオムニバス映画で、そのすべてをジュリアン・デュヴィヴィエが監督している。
デュヴィヴィエ監督のオムニバス映画といえば『舞踊会の手帖』(37)が日本では有名だが、実はデュヴィヴィエ監督は生涯に6本のオムニバス映画を撮っているのだという。
それだけに、オムニバス映画の“コツ”を知り尽くした監督だったのかもしれず、この作品も『十戒』という我々日本人には馴染みにくいテーマのはずなのだが、とにかく7話のエピソード全てが面白い。
例えば、『第2話』なんてマックス・オフュルス監督の『たそがれの女心』(53)やジャック・リヴェット監督の『王手飛車取り』(56)と似たような話だが、にもかかわらず面白い。
フランソワーズ・アルヌールとミシュリーヌ・プレール(『偽れる装い』)の二人の女優も実にいい。
全体的に、他に印象的だった俳優はダニエル・ダリュー、フェルナンデル、そしてミシェル・シモンといったあたりか。
ストーリーが面白いのはもちろんだが、とにかく出演者が豪華なので、観ていて飽きない作品である。
ジャン=クロード・ブリアリというヌーヴェル・ヴァーグを象徴する俳優が“守旧派”のデュヴィヴィエ監督の作品に出ているのも珍しいが(『第6話』)、観ていて全く違和感がないというのも興味深い。
それにしても、ブリアリという人は、そこにいるだけでヌーヴェル・ヴァーグの匂いを醸し出す俳優だ。
ジャン・ルノワール監督の『素晴らしき放浪者』を国内盤DVD(紀伊国屋レーベル)で観た感想。
『BOUDU SAUVE DES EAUX』(32年)
監督・脚本:ジャン・ルノワール
撮影:マルセル・リュシアン
音楽:ラファエル、ヨハン・シュトラウス
出演:ミシェル・シモン、シャルル・グランバル、マルセル・エイニア、セヴェリーヌ・レルシンスカ、ジャン・ダステ
初見。
これも32年製作という古さを全くと言ってよいほど感じさせない作品で、ジャン・ルノワール監督作品らしい大らかさがなんとも魅力的な作品である。
ひとえに主人公の浮浪者のブーデュを演じたミシェル・シモンの演技力と持ち味に負うところ大であるが、それだけに、この役柄を良しとするか否かがこの作品の好悪に大きく影響するかもしれない。
私は好きだが。
映像的には、水の描写がいかにもルノワール的で、映画のアクセントになっているように思われる。
セーヌ河沿いをミシェル・シモンが歩く場面、河に飛び込んだミシェル・シモンをシャルル・グランバルが助ける場面など、どこがどうということもないが、魅力的なシークエンスとなっている。
ミシェル・シモン以外のキャストもシャルル・グランバル始めなかなか良く、時間があったら是非もう一度観たい作品だ。
個人的に好きなジャズCDということで今回はリー・モーガン『デライトフリー』のご紹介。
LEE MORGAN『DELIGHTFULEE』(ブルーノート)
① カ・リー・ソ②ザンビア③イエスタデイ④サンライズ、サンセット⑤ナイト・フライト⑥ザ・デライトフル・デジー
リー・モーガン(tp)フィル・ウッズ(as)ウェイン・ショーター、ジョー・ヘンダーソン(ts)、マッコイ・タイナー(p)、ボブ・クランショウ(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ、ビリー・ヒギンズ(ds)他
リー・モーガンは大好きなトランペッターなので所有しているリーダー作のCDは10枚を下らないが、この『デライトフリー』はこれまで全く聴く機会のなかったアルバムである。
聴く気にならなかったのは…録音時期が67年、ビートルズの『イエスタデイ』のカバー収録、ビッグ・バンドの起用、あまりカッコ良くないジャケット…等々の理由から勝手に駄盤だと決め付けていたためだ。
今回、この『デライトフリー』がたまたま中古店で安く出ていたので、買って初めて聴いてみたのだが、ビックリするくらい内容が充実している。
なんというか、アルバムが進行するにつれて曲と演奏が充実してくる感じで、③『イエスタデイ』も悪くないが、アルバムのハイライトは④⑤⑥だろう。
特に⑤⑥はリー・モーガンのオリジナルだが、どちらも名曲。
この時期の他のアルバムを聴くと分かるが、この時期の彼の作曲能力は相当のレベルに達していたと思う。
オリジナル・フォーマットとしてはクインテット編成が4曲、オリヴァー・ネルソンのアレンジによるビッグ・バンド編成が2曲という6曲入りのアルバムなのだが、私が買ったCD(RVGリマスター、1700円盤)にはボーナス・トラックとして4曲のビッグ・バンドの演奏も含まれている。
この4曲がえらくいい。
とりわけ、この編成ではフィリー・ジョー・ジョーンズのドラムスが大爆発している。
このアルバムでテナーサックスを担当しているのはジョー・ヘンダーソンとウェイン・ショーターの二人で、編成によって担当が替わるが、どちらのソロも魅力的。
また、全曲でピアノを担当しているマッコイ・タイナーについても是非指摘しておきたい。
いつも思うことだが、このアルバムに限らず、ブルーノートにおける彼のプレイはなんとも活き活きとして素晴らしい。
コルトレーン・カルテットでの彼とは別人のようだ、と言ったら言い過ぎか。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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